猫からの贈り物 [猫から教えてもらったこと]

この3月に、親猫が私の傍から旅立ちました。
2月に病気が発覚し、あっという間にいなくなってしまいました。

もっとこうしてあげれば良かった。あの時なんで病院から連れて帰らなかったんだろう。
苦しそうな最期に、何度も後悔しました。

毎日、泣いて泣いて、どうしたら良いか分からなくなりました。

この家はこんなに広かっただろうか。
こんなに静かだったっけ?
急に、この世界でひとりぼっちになった気がしました。

「これ見たらご飯にするから、待ってね」
そう言って、いつも待たせて見てたテレビを見ても、何が面白かったのか分からない。
毎日時間がなくて、すぐ仕事に行く時間になったのに、今はこんなに時間が経たない。
私、これからどうやって生きていったらいいんだろう。

10歳を過ぎて、ずっと、いつか来る別れを思いながら一緒に暮らしてきました。
今は20年生きる猫もいるから、ずっと「頑張って長生きしてね」と言っていました。
こんなに急にいなくなるとは思っていませんでした。
この仔のいない1ヶ月はとても長く、今日が何月何日かすら分かりませんでした。
この仔がいない世界は、私には何の意味もありませんでした。

留守番ばかりで、寂しい思いをさせてごめん。
一緒に連れて来なかった方が幸せだったかもしれない。
いつもいつも、待っててくれたのに、構ってあげられない日もあった。
後悔ばかりが、次から次へと押し寄せて、今にも心が潰れてしまいそうでした。

ペットロスなんて言葉では括れない。この仔は私にとって、ペットではなく家族でした。
虹の橋の話も、私を慰めてはくれませんでした。

猫の本なんて、もう見たくない。
そんなことまで思っていましたが、ペットロスの本で癒されました、という記事を読んで、思い切って本屋さんで猫の本のコーナーに探しに行きました。
ペットロスの本は見つかりませんでした。
猫の仕草について解説する本がかわいくて、手に取りました。

ふとんに入って一緒に寝たがる猫。

飼い主が寝るのを待って、ふとんに一緒に寝たがる猫は、飼い主と一緒に寝るのをいつも楽しみに待っているそうです。飼い主の体にくっついて、腕にあごを乗せるととても安心でき、飼い主が逃げることもなく一緒にいられる時間を過ごせるから。顔に近ければ近いほど信頼も厚く、同じ姿勢で眠る仔はシンクロ率も高い。飼い主が起きると一緒にふとんから出てくるなら、信頼度100%だそうです。

うちの仔がこの通りでした。
ふとんに入っているのが熱いと、隣の枕の上で、私の顔に鼻先をつけて丸くなって眠りました。
重いので腕が痛くて背中が攣り、「今日は無理」と腕枕を断ったこともあって、また後悔。
一緒に眠るのをいつも待っていましたが、うたた寝してしまうことが多くて、かわいそうに思っていました。
神経質で人が怖く、いつもびくびくしてるところのある仔でしたが、私の傍にいるときは心から安心できたのかもしれない、と思いました。
その本を読んで少し癒されたので、他の本も手に取ってみました。

表紙に巻かれている大きめの帯の、かわいい猫に目が留まりました。
うちの猫と、模様の色は違いました。猫の仕草で気持ちを解説した本でした。
猫の横にはこう書かれていました。

『サイレント・ミュウ』

初めて目にする言葉でした。
猫の気持ちがわかる本なんて、最近は読むこともしなくなっていました。
長く一緒に暮らしてるから、読んでも知らないことは殆どないくらいでした。

『こっちを見て、声を出さずに「ニャー」と鳴く口の形をすること。実は人間に聞こえないだけで猫同士に聞こえる高い周波数で鳴いている。』
と書かれていました。
うちの猫が、生前よくしてました。いつも私が見た時するので、「また、声を出さないで鳴く。手抜きー」とよく答えていました。そっか、他の仔には聞こえていたのかもしれないな。知らなかった。
他にもイカ耳とか、かわいい写真が並んでいたので、中を開いて読み始めました。
写真の猫もすごくかわいくて、創作の慣用句なども面白く、夢中になって読んでしまいました。
そして、表紙の猫のページにたどり着きました。

先に書いた文章の後に、続きがありました。(原文ではありませんので、表現が違っているかもしれません)

子猫が母親に甘える時に鳴いていた鳴き方で、人にされたらとても愛情を感じてると思って良いそうです。
慣用句には『宝石箱を積んでも―は手に入らない』というようなことが記述されていました。

読んだ次の瞬間、涙が出ました。

サイレント・ミュウ
それは、亡くなった猫からの贈り物でした。
猫はきっと幸せだった、そう信じよう。急に、何故か素直にそう思いました。
私は幸せだったから。
幸せ過ぎることに気付かないくらい、それは日常だった。
宝石箱をいくつ積んでも手に入らない幸せを、私は毎日毎日、何度も何度ももらってきた。
猫が私にくれたものは、まだまだたくさんあるはず。

猫の死で失ったのではなく、猫の生と死から得たものをこれから受け取っていこう。

猫はまだ生きている、そうやって脳を騙すことで悲しみを癒すことができるかもしれません。
もういない、会えない。
そう思うから苦しくて抜け出せない。
きっと、また会える。
そうつぶやいても、悲しみは癒せない。
でも、
猫はここで生きている。そう思うと心は落ち着いてきます。
ただ会えないだけ。
だって、心の中にいつも住んでいるから。この世界にいると病気で苦しいから、苦しみのない世界に住処をうつしたの。
部屋を見て猫の面影を重ねてもういないと悲しむのではなく、部屋の中のあちこちで猫が楽しく過ごしていたことを思い出して、ここにまだ猫がいることを感謝しよう。
傍にいる時のように、話しかけよう。
信じる限りいつまでも心の中に猫はいる。いつか時期が来たら逢える。強く思えば、願いは必ず引き寄せられ叶う。
いつも笑わせてくれた。かわいくて癒された。悲しいことがあると、傍にいてくれた。
猫がそう意図しているわけでなくても、飼い主が受け取る気持ちが本当だと信じたなら、それはすごいパワーになるのです。


人間は普段、こうしてほしい、と思うエゴの強い生き物なのだそうです。
でもいざ相手が亡くなったりして会えなくなると、こうしてあげれば良かった、と、こうしてほしかったではなく、してあげられなかったことだけを後悔するそうです。
だから、こうしてあげられなかったと後悔するのは仕方のないことです。
猫はきっと、どうしてしてくれなかったのかとは思っていません。
そんなエゴのない、きれいな生き物だから。
それより、猫から受け取ったものを大切にして、自分を苦しめないようにしようと思います。この仔が大切に思ってくれた私なのですから。

この仔のいたずらか、思いがけずに何かに出会うことがあります。
偶然訪れたサイトに、思いがけないプレゼントがあったり。巡り巡ってメッセージを見つけたりします。
長く一緒にいて、猫が私にシンクロしていたのだと思うことがありました。
また、ペットロスについて調べていたら、不思議と納得できるお話に出会うこともありました。

人生に無駄なことはなく、必要な時期に必要なことが順番に起こるそうです。
どんなこともが起きても絶望することなく、流れのままに受け取り、意味を学ばなくては先に進めない気がします。
忘れないためにも、少しづつ書いておきたいと思います。

本当にありがとう[猫]
サイレント・ミュウ
いつまでも忘れない。
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